Paul Craig Roberts
2015年4月27日
カール・マルクスが、歴史はプロレタリアートを選んだと主張したのと同様、歴史はアメリカを選んだとネオコンは主張している。ナチスが“ドイチェランド・イーバー・アレス(世界に冠たるドイツ)”と主張していたのと同様、ネオコンは“アメリカ・イーバー・アレス(世界に冠たるアメリカ)”と主張している。2013年9月、オバマ大統領は、国連の前に立って宣言した“私はアメリカは例外的だと考えている。”
ドイツの政治指導者達や、イギリス、フランスや、ヨーロッパ中の、そしてカナダ、オーストラリアや日本の政治指導者達も、アメリカは例外的で、つまり自分達より優れていると考えている。これが、こうした国々がワシントンの属国でいる理由だ。彼らは、例外的な国、アメリカより劣っていることを受けいれているので - 指導に従うのだ。
中国が、少数の白人が、連中のちっぽけな人口以外の何かで例外的だと考えている可能性はない。アジア、アフリカと、南米の人口からすれば、ワシントンの帝国を構成する国々の人口はわずかなものだ。
ロシア人もアメリカが例外的だとは思っていない。プーチンはアメリカ優位というオバマの主張にこう答えた。“神は、アメリカを平等に創られた。”プーチンはこうも言った。“動機は何であれ、人々が自らを例外的だと考えるのを奨励するのは極めて危険だ。”
もし全ての国々が例外的であれば、この単語は意味を失う。もしアメリカが例外的なのであれば、それは、この選定から外れた他の国々は劣っていることを意味する。劣っている国々の権利はより小さく、いじめられて服従させられたり、爆撃されて忘却のかなたへ追いやられたりするのだ。
例外的な国は、他の全ての国々を超越し、それゆえ、他の国々をどう扱うかなど全く気にする必要がないのだ。21世紀、8ヶ国でのワシントンの戦争で、何百万人もの人々が殺害され、肢体不自由にさせられ、強制退去させられているのに、ワシントン非難という結果に至っていないのだから、アメリカとその属国諸国は、アメリカは例外的と考えているのは明らかだ。メルケル、オランド、キャメロンや、カナダ、オーストラリアや日本の傀儡連中は、ワシントンにしっかりしがみついて、依然ごまをすっている。
一方、アメリカとは違って、軍事的に侵略的でない国々であるロシアとイランが、白人マスコミによって、脅威として描き出され、非難される。
2014年2月以来、白人マスコミは、ウクライナにはロシア戦車と軍隊がいると主張しており、そう主張し続けてきた。もしこれが本当であれば、キエフと西ウクライナは昨年早々、ロシア侵略で陥落していただろうとプーチンは指摘した。東と南ウクライナの離脱したちっぽけな共和国さえ打ち破れずにいるキエフにロシア軍に対する勝ち目などありえない。
最近、勇敢な報道機関が、ロシア戦車が、14ヶ月間、ウクライナに押し寄せているという白人マスコミの主張を笑い物にした。パロディーは動きを止めたウクライナを描いていた。あらゆる道路や住宅街の通りの交通はロシア戦車で封鎖されている。全ての駐車場、歩道も人々の前庭も後庭も、戦車が山積みになっている。国中が交通渋滞で動けなくなっている。
白人マスコミを信じ込む騙されやすい連中をからかって愉しむ連中はごくわずかだとはいえ、地球上の生命に関しては、状況は深刻だ。
ワシントンとその属国が、地球上の生命に配慮しているという兆しはほとんどない。最近、欧州議会最大の政党、欧州人民党が、地球上の生命について、騎士道精神的意見を述べた。我々が、オンラインEUニュース源であるEuractiveを信じるなら、EUの多数派政党は、EUは核戦争の用意ができていると宣言することが、ロシアの更なる侵略を阻止する為の最善の手段の一つだと考えているという記事がある。http://www.unian.info/politics/1070675-meps-believe-eu-should-be-ready-for-nuclear-war.htmlアルマゲドンの用意が出来ていることをヨーロッパが宣言して、止めるべき侵略とは、ウクライナへのロシア侵略とされるものであり、“更なる侵略”とは、ソ連帝国再建というプーチンの意図とされるもののことだ。
欧州連合の指導者達が、ワシントンのプロパガンダに異議を申し立てるのではなく、核戦争を是認する方を選ぶ様子に、ロシア政府は失望したに違いない。
欧州議会の与党が、核戦争の用意が出来ていることを宣言して、ありもしない侵略を止めねばならないと考えているという記事を読んだ際、お金で、ありとあらゆるものを、地球上の生命すらも、買うことができることを悟った。欧州人民党は、ヨーロッパの代表としてではなく、ワシントンのプロパガンダの代表として語っているのだ。ヨーロッパのロシアとの核戦争は、ヨーロッパのあらゆる首都の破壊で瞬時にして終わるだろう。
欧州人民党の狂った副党首、ヤツェク・サリウシ・ヴォリスキーが“ロシアと話し合って、説得する時間は過ぎた。今や強硬策の時だ。”と宣言して、誰が本当の侵略者なのか明らかにした
明らかに、欧州議会は、地球上の生命にとって、重大な危機だ。ロシアが、ワシントンの囲い者に身をやつすと考えるのは、一体現実的だろうか?
Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/04/27/insanity-grips-western-world-paul-craig-roberts/
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傀儡が権力を掌握して、宗主国の為になら、たとえ火の中、水の中、どこまでもついてゆきます、下駄の雪政策を推進する属国は、この国だけではないと知ったとて、気休めにはならない。