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辻褄があわない欧米の“クルディスタン”政策

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2017年10月28日
Ulson Gunnar
New Eastern Outlook

一方で、アメリカ合州国は、自称“「イスラム国」”(IS)に対する戦いは終わったのだから、イランが支援する民兵にイラクから“退去”するよう要求している。
一方、アメリカとヨーロッパのパートナーは、ISを“撃退”すべく、イラク北部地域のクルド人諸派閥に対して、依然、兵器、現金、直接の軍事支援や訓練を注ぎこんでいる。

しかも、アメリカの軍事契約業者連中は、隣国ヨルダンとサウジアラビアとを結ぶイラク西部の幹線道路を支配しようとしている。治安維持と、破壊されたインフラ再建を行うはずの軍事請負業者は、ISが存在し続けていることを、アメリカがイラクに駐留を継続している口実にあげている。

言い換えれば、アメリカ合州国と、やはり、この地域で、ISや他の過激派に対して活動しているイランやシリアやロシアとイラクの協力を排除し、アメリカとパートナー諸国が、イラクとその将来を独占的に支配できるようにするための言説を作り出すため、ISは敗北したといいながら、まだ、敗北させる必要があると主張しようとしているのだ。

人為的な紛争

CNNは“ティラーソン: イランが支援する民兵は、イラクを去るべき時期だ”という記事で、こう主張している。

アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は、ISISに対する戦いの終わりを期待して、日曜日、イランが支援する民兵は、戦争で破壊されたイラクという国を出るべき頃合いだと語った。

“民兵たちは去る必要がある”とティラーソンは述べた。“イラク内の全ての外人戦士は帰国し、ISISやダーイシュに占拠されていたが今や解放された地域を、イラク国民が取り戻せるようにするべきだ。イラク国民が隣人たちの支援を得て、自らの生活を再建できるようにすべきだ。”

ティラーソン国務長官は、イラク国民に“隣人たちの支援を得て”自らの生活を再建できるようにするべきだと言いながら、彼はどうやら、イランとシリアを除いたイラク人のあらゆる隣人を意味しているようだ。

ティラーソン国務長官の発言は、サウジアラビアのリヤドで行われたもので、イラクが、一体からどの隣人支援を得るべきかについて、極めて重要なヒントになっている。ところが、それは、そもそも、イラク国民が戦ってきたまさに相手である過激派に、武器、現金、機器や訓練を提供してきたサウジアラビアなのだ。

CNNはこうも言っている。

同時に、長年、少なくとも1,500人のサウジアラビア人がイラクとシリアにやってきて、ISISに加わっており、バグダッドは長らく、サウジアラビアが、スンナ派過激派が自国領土を横断して、イラクに入って、イラクの宗派紛争参加するのを見て見ないふりをしていると非難してきた。

2007年、アメリカ軍兵士やイラクの民間人や治安部隊を標的にするすべての外国人戦士の約40%は、サウジアラビアから来ているとアメリカ軍は述べていた。当時イラクに入国したサウジアラビア戦士の半数は、自爆犯になることを目指していたと、アメリカ軍は語っている。

この明らかな矛盾が示しているのは、イラク内での紛争は、決して、自然に起きる過激派の脅威を打ち負かすなどと言うものではなく、実はワシントンが、リヤドのようなパートナーの支援を得て、テヘランと、その同盟国を狙って画策している代理勢力による紛争だったのだ。

クルディスタン、もう一つの“IS”

もしイラクと隣国シリア内で戦っているISや他の過激組織がアメリカとヨーロッパとペルシャ湾岸諸国の権益を代表する一つの代理勢力なのであれば、独立“クルディスタン”を分離して作り上げようとしている北イラクのクルド人諸派は、もう一つの代理勢力だ。

同様に、アメリカとヨーロッパ政府は、特定のクルド人諸派に対するアメリカ-ヨーロッパの支持は継続しているのみならず、拡大する中、イラク民兵には解隊を始めるよう主張しているのだ。

ドイツのドイチェ・ヴェレ (DW)は“ドイツ軍 イラク・クルド人訓練を再開したが、任務の将来は不確実”と題する記事でこう報じている。

ドイツ軍は、日曜日、自治区とバグダッドとの間の政治的、軍事的紛争にもかかわらず、イラク・クルド人ペシュメルガ戦士の訓練を再開したと発表した。

ドイツ国軍は、イラク・クルド人が“「イスラム国」”(IS)を撃退するのを支援すべく、ペシュメルガを三年間訓練し、兵器を供給してきた。

2014年9月以来、ドイツは総計約9000万ユーロ(1兆600万ドル)にのぼる、約32,000丁の突撃ライフルと機関銃と、MILAN対戦車ミサイルを提供してきた。約150人のドイツ国軍兵士が北イラクに駐留しており、ペシュメルガ部隊もドイツ国内で訓練を受けてきた。

しかし、訓練任務は、クルド人が2014年6月以来占拠している係争中の領土に対する支配権を回復しようとして、バグダッドの中央政府が、イランに訓練された準軍事組織集団を移動させた後、一週間中断された。

ところが、もし“イランが訓練した準軍事組織集団”が、2014年6月以来クルド人が占拠している係争中の領土に対する支配権を回復すれば、これは地域から、ISの脅威は除去されたことを明白に意味し、それゆえドイツの軍事支援は、正当な理由を欠くか、決して本気で、ISと戦うつもりのものではなく、イラク中央政府と対決して、戦うもう一つの代理勢力を強化しながら、単に、出来るだけのことをしている振りをしているのだ。

DWの記事には興味深い地図もある。地図上で“クルディスタン”は、クルディスタン民主党 (KDP)と、クルディスタン愛国同盟(PUK)各派にわかれイラク北部国境にくっついているちっぽけな地域だ。これは将来の機能する自立した国民国家の基盤のようには見えず、むしろ永久に外国の後援者連中に頼り続ける、分割された、弱い代理軍だ。

依然、小国分割が狙い

言い換えれば、“クルディスタン”は、アメリカとそのパートナー諸国が両国を分割し、弱体化し、この地域中で覇権を得るための要素にすぎない。

DW記事があげた、より誠実な政治家や評論家たちは、もし本当の狙いが本当にISとの戦いなのであれば、ドイツがクルド民兵支援を継続することには、ほとんど説得力がないと言っている。ところが、アメリカは、一部のクルド人指導者がそういう形で使われるのを許す限り、進んで協力するクルド派閥を、バグダッドに対する、更には、かなりの程度、テヘランに対する代理勢力として利用しようとしているように見える。

“クルディスタン”を“独立”と“自決”の問題として描こうとする取り組みは、イラク北部地域の実際の社会政治的、経済的、軍事的状況を検討すると決して成立しない。今のところ、クルド人の将来は、クルド人自身ではなく、ワシントンとそのパートナーによって決定されつつあるのは明らかだ。しかし、この継続中の政治ゲームで、最大の犠牲を払うのは、主にクルド人自身と、彼らが戦おうとしているバグダッドを代表する民兵や兵士たちだ。

アメリカが、シリアとイラクの両方を宗派の境界線に沿って分割するのを狙っているのは公然の事実だ。ブルッキングス研究所のようなシンクタンクのアメリカ人政策立案者たちは、文字通り、そうした分裂をいかに醸成されるかを詳細に説明する“シリアの脱構築: アメリカの最も絶望的な戦争のための新戦略”といった類の題名の論文を書いている。

そうした分割は、両国が、自らの運命を決める能力を更に弱体化させ、まして地域への影響力は低下しよう。アメリカが“スンナ派”勢力圏を強化するためイラク西部の幹線道路を支配しようとしており、北部のクルド人に武器を与え、訓練し、支援している現在、イラクの三分割が依然、アメリカ政策の中核にあることは明らかだ。ISは意図的に導入されたが、ほぼその使命を終えた触媒に過ぎなかったように見える。

アメリカが次にどのような“触媒”を頼るのかわからないが、当面は、ISが、存在しながら、存在していない、ふりをして満足しているように見える。しかし、ほとんど疑問の余地がないのは、ワシントンと、そのパートナー連中が、いまだ熱心に連中の狙いを推進しようとしており、地域に対する支配力を回復する取り組みで、地域を弱体化させ続けていることだ。

Ulson Gunnar、ニューヨークを本拠とする地政学専門家、作家、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/10/28/wests-kurdistan-policy-not-adding-up/
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クルド人問題、『私の闇の奥』の記事を拝読している。最新のものは、ロジャバ革命の命運(7)

驚きの猟奇事件報道。チャップリンの殺人狂時代を思い出す。

現政権方針の危険をこそ報道すべきだろう。それをいうなら自称野党の方針も。

戦争、紛争、全て商売だ。一人殺せば悪人だが、百万人殺せば英雄だ。数が殺人を神聖化する。

Wars, conflict, it's all business. "One murder makes a villain. Millions a hero". Numbers sanctify.

ビールビー・ポーテウス主教の詩が元だという。

Beilby PorteusのDeath: a Poetical Essay. 該当部分にはこうある。

The foulest stain and scandal of our nature
Became its boast. — One murder made a Villain,
Millions a Hero. — Princes were privileg'd
To kill, and numbers sanctified the crime.

民進党新代表の記者会見「希望の党と立憲民主党とは等距離」。

「労働者の権利推進を目指すアメリカ左翼はもはやなく、戦争屋と組んで戦争推進」というPaul Craig Roberts氏の指摘を想起する。

今日の日刊IWJガイドの一部を引用させて頂こう。

 民進党は昨日10月31日午後、両院議員総会で前日辞任を表明した前原誠司代表の後任として、新代表に大塚耕平参議院議員を選出しました。大塚氏は日銀出身で、民主党政権で内閣府副大臣や厚生労働副大臣を歴任しました。

・民進 新代表に大塚耕平参議院議員を選出(NHKニュース、2017年10月31日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171031/k10011205571000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_003

 大塚新代表は就任後の記者会見で、「希望の党と立憲民主党とは等距離」であるとのスタンスを示しました。意外な、そして微妙な立ち位置です。

 10月27日の両院議員総会では、衆院選で希望の党への合流を独断で決め、分裂騒動を起こした前原氏への批判が殺到しました。前原氏が「候補者の選定と政策のすり合わせは、(希望の党の)小池さんと私でやりました」と語っているように、辞任後、希望の党へ合流する前原氏とともに民進党を解党寸前にまで追い込んだ小池氏が代表を務める希望の党に対して、立憲民主と等距離でいられるのでしょうか。

 この、10月27日の両院議員総会の全記録をIWJは独自に入手。会員限定で全文公開しています。この機会にぜひ、会員登録をご検討ください!

※非公開だった10月27日の民進党両院議員総会の速記録全文入手!「前原代表は最初から『リベラル切り』を考えていたのでは!?」~民進党を一瞬で壊した前原氏に批判殺到!会員限定公開!全文必読! 2017.10.27
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/404091

 しかも現行の希望の党の規約には、「結党時の代表」である小池氏は、病気にならない限り、6年間は絶対に解職できないことになっています。民主的なとても公党とはいえないのではないでしょうか。

・“小池氏独裁”のための、恐るべき「希望の党」規約(BLOGOS、2017年10月30日)
http://blogos.com/article/255633/

 大塚新代表は会見でさらに、改憲については「議論に応ずる」とした上で、「もともと自衛隊については合憲であると言ってきた。憲法に書いてあろうとなかろうと合憲であることは変わらない。むしろ、憲法に書くことによって何が変わるのかを議論しなければならない」と述べました。安倍総理のいう、憲法9条3項に自衛隊を書き加えることは、現在の違憲の安保法制・集団的自衛権の容認を合憲にしてしまうことになります。大塚新代表には、もっと一般にもわかりやすい言葉で訴えかけてほしいものです。

 この会見の様子はIWJも中継しましたので、ぜひ以下の記事をご覧ください。

※民進党・新代表に選出された大塚耕平氏、両院議員総会で「次期衆院選で立憲・希望・民進を中心に政権交代実現」と意気込むも、共産党とは「政策的に相いれない部分があれば共闘は難しい」 2017.10.31
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/404108


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