Paul Craig Roberts
2016年5月2日
オバマ大統領によれば、世界唯一の超大国、一極大国、例外的な国が、南米のちっぽけな国ベネズエラに脅かされているという!
昨年発行し、今年改訂された大統領命令で、ベネズエラは、“アメリカ合州国の国家安全保障と外交政策にとって、並はずれた、途方もない脅威”だとオバマ大統領は宣言し、“ベネズエラの脅威”に対抗するため“国家非常事態”を宣言した。
( http://latino.foxnews.com/latino/politics/2016/03/03/obama-extends-order-declaring-venezuela-national-security-threat/ ).
このでっちあげの“途方もない脅威”はベネズエラのマドゥロ大統領を打倒するためのオバマ政権の口実として機能する。アメリカ大企業や銀行の利益ではなく、自国民の利益を代表しようとする選挙で選ばれた中南米の政権を打倒するのはアメリカ政府の伝統だ。
中南米の改革者こちに対するアメリカ政府の攻撃については、4月11日、『中南米の改革者を破壊し続けるワシントン』 と、4月22日、『ワシントン、BRICS攻撃を開始』で書いた。
何十年も前、アメリカ海兵隊将官スメドレー・バトラーが、自分はニューヨークの銀行と、ユナイテッド・フルーツ社の意思を、武力によって中南米諸国に押しつける“資本主義のための暴力団員”だったと告白した。
著書『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』で、ジョン・パーキンスは、いずれもアメリカ企業権益の邪魔だった、1981年のパナマのオマル・トリホス大統領と、エクアドルのハイメ・ロルドス大統領の暗殺について書いている。
2009年、アメリカ・マスコミによって、しっかり悪魔化された後、ホンジュラスは、ユナイテッド・フルーツ社のためのものではなく、ホンジュラス国民のためのものであるべきだと考えたホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領は、オバマ大統領と、ヒラリー・クリントン国務長官が許可した軍事クーデターで打倒された。国民によって選ばれた大統領は、アメリカ政府が選んだ、アメリカ大企業の手先、ロベルト・ミチェレッティに置き換えられた。
マドゥロ大統領に対する国民の支持を蝕むため、アメリカ政府は、ベネズエラに経済戦争をしかけている。マスコミは、エリートに支配されており、アメリカ政府がひき起こした経済問題を、マドゥロのせいにしている。
アメリカ政府は、エリートの中にもぐり込ませた連中に、ベネズエラ議会の支配権を取り戻させるのに成功した。マドゥロ打倒の本当の企みが進行中だ。混乱したベネズエラ国民は、伝統的に国民を弾圧してきたパワー・エリートに権力を返上して、自滅しかねない。
アメリカ政府は、アメリカ政府が資金を出した“グリーン革命”で、イランを不安定化しようとしたが、うまく行かなかった。アメリカ政府が資金提供する非政府組織(NGO)を受け入れ、欧米の経済機関に参加し、外国投資を認めて、ロシアも中国も不安定化されやすくなっている。
アメリカ政府は、ロシアと中国を、両国の独立を危険にさらす、欧米経済機関と経済的発想に巻き込むことに成功したのだ。
何でも他国を自分のコントロール下に置き、思い通りに事を進められる状態にしないと我慢できないアメリカ政府の性格を考えれば、ロシアのプーチン大統領は暗殺に用心すべきだ。アメリカ世界覇権を求めるネオコンの衝動には、あらゆる手段が許されるのだから。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
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この記事を裏返せば、この属国の政権が安定しているのは傀儡政権だからということになるだろう。
宗主国傀儡が事実上の最高権力者というミャンマーで、属国傀儡外務大臣が、民主的に選ばれた政権への協力をうたいあげる。傀儡相哀れむの図。
あの国がどういう状況にあるのか、大本営広報部は伝えてくれないので、例えば下記記事を翻訳した。
宗主国での北朝鮮拉致問題シンポジウムでの発言、後ろに、お馴染みのCSISロゴ、ジャパン・ハンドラー様のグリーン氏がしっかり見守って下さっていた。
昔GHQ、今CSISに、ずっと支配され続けている属国ということがよくわかる映像。
CSISに操られている傀儡連中が、GHQがおしつけた憲法ではなく、自主憲法をつくるという茶番。愚者集団、以外、表現を思いつかない。
屋外の憲法破壊反対集会に参加された多くの方々の映像が映った。憲法破壊反対集会で、某野党幹部、「与党は九条破壊を狙っている」と発言。
そうではない。与党は、ナチスと同じで、緊急事態条項をもりこんで、一気に国会を停止し、ファシスト政権支配を狙っている。
室内憲法破壊集会、映ったのは「おばさま」やエセ憲法学者。皆日本会議コアメンバー。
シンポジウム「戦争と学生―経済的徴兵制をぶっ潰せ!」 2016/04/30で、あの『永続敗戦論』の白井聡氏講演を拝聴した。
大学教員の待遇問題、想像外の解決策に感心。
一方、大学生が、戦争法案反対に本気で動かないのは、幼児化されているのだ、と厳しく批判。反対デモに行くのは中高年ばかり。戦争に駆り出されるのは、若者でしょうと。
しかし、小生の幼なじみをみる限り、多数の中高年も十分に洗脳されている。
Paul Craig Roberts氏が、再三言われる「マトリックス」状態。マスコミによる朝から晩までの洗脳攻撃で、若者はゾンビー化している、ということだろう。
『原発プロパガンダ』を読みながら、日本人が一億総白痴と化している主要原因は、テレビ洗脳だろうと強く確信した。もちろん、紙媒体も大きい。いわゆる「マスコミ」というものは、情報を伝える機関ではなく、洗脳機関なのだ。
悲しいかな、電気料金として国民が支払わされた金が、洗脳機関に投入されて、国民の首を絞めるイカの足くい状態。
混乱した世界最大の属国国民は、伝統的に国民を弾圧してきた買弁パワー・エリートに投票しつづけて、自滅しかねない。
『原発プロパガンダ』から、一部うつさせて頂こう。
195ページ
無料のインターネットが普及した現在においても、視覚と聴覚を同時に刺激するテレビの影響力は未だに絶大だ。それほど絶大な影響力をもつメディアがなぜ「無料」なのか、視聴者はきちんと考えなければならない。そのカラクリが理解できれば、テレビが発信する情報のどれに価値があり、ないかがわかるはずだ。
ここで改めて、メディアの情報に接する際の留意事項を記しておこう。
一)メディアは決して潔癖ではなく、間違う、嘘をつく、利益誘導する存在だということを認識する
二)ニュースを見る際、漫然と見るのではなく、その発信者、ニュースソースが誰なのか、何 のために発信しているかを考える癖をつける
三)大手メディアが同じ論調の場合、なぜそうなのか疑う。異なる意見がないか意識を持って 探し、それぞれを比較して考える
四)各メディアの企業特性、親会社、株主などを知っておくと、利害関係が理解できる
五)そのニュースによって得をするのは誰か、逆に損をするのは誰かを考えるいずれも、自分の目と耳で聞き、確かめ、考えることが重要であることに変わりはない。繰り返すが、テレビやPCの前でただ座っていたのでは、正しい情報は得られない。原発プロパガンダがそうであったように、資金を持っている政府や大企業は凄まじい量のPRで国民の意識を麻痺させようとする。それに抗う第一歩は、ありきたりではあるが個人の意識をしっかり持つことにかかっている。そしてそれが、3・11以後の時代に生きなければならない、私たち に課せられた義務なのではないだろうか。
216ページ「おわりに」の最後にこうある。
そして、広告代理店やメディアの実名を書いていることで尻込みする他の出版社をよそに、この内容をそのまま世に出してくれた岩波書店の皆さんにも、この場を借りて厚く御礼を申し上げたい。
どのような強者であっても、いずれは歴史によって裁かれる。たとえ今はドン・キホーテに見えたとしても、筆者の仕事がその一助になればと願っている。